北沢防衛大臣の情報公開にエール

情報公開がなかなか進まなかった自衛隊の活動内容が、やっとわずかだが開示されたようだ。


岐阜県の主婦が自公政権時代何度も開示申請していたイラク空輸協力である。
今回、北沢防衛相名義の情報提供通知が届いたとのこと。


新聞記事だけなので、北沢防衛相の直接指示があったのかあるいは内規の変更によるものか、詳細はわからない。しかし、政権が民主党に変わった効果は確実に出始めているとみてよいだろう。


役所中でも軍事機密を多く抱える自衛隊の活動実態をもっと正確に知ることから、健全な軍の統制が可能となる。シビリアンコントロールとは、制度システムの問題に矮小化されがちだが、最も大事なのは国民が活動実態をよく理解して適正なあり方を判断していくことである。


これは、今までともすると自衛隊違憲イデオロギー的に軍を指弾する世情から軍関係者も萎縮したり逆に居丈高になったりしてきた。しかし、いまや軍の存在をいきなり否定する国民も少なくなり、60年にわたり正面きって他国に侵攻することもなかった立派な実績を評価しつつ、当たり前の公務員として国民の下僕としての常識的判断をもとめていきたい。
(田母神氏などのお粗末な歴史認識をもつ奇形軍人は少数派だということも国民は理解している)


今回のイラク派遣だけが、小泉という異常な歴史的無知によって海外派兵されたわけだが、こうした過ちをおこさないようにするためには、適正な情報公開が是非とも必要である。
そうすれば、小泉のような愚者とメディアに煽られて、万一国民の愚劣な熱狂があったとしても軌道修正するチャンスもでてくるはずである。


国民はその程度には成熟しており、生活を通じてバランスをとっているものだ。
その証拠が今回の政権交替である。


軍も政府も国民も情報公開を通じてり、リアリズムに徹したコントロールの訓練が必要である。それによってしか国民は軍を信頼しないだろうし、自分たちの軍だという認識も深まらないだろう。
つまり、情報公開の利益享受者は自衛隊という軍であることを防衛省は肝に銘じておくべきだと思う。

読売新聞記事(YOMIURI ONLIN 2009,10,6付け)
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http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091006-OYT1T00464.htm