長妻大臣の甘さと無知

後期高齢者医療制度の即時廃止の公約が早速反故にされようとしている。
その主たる理由が、市町村の事務処理負担が増大するからだという。


そもそも以前はどうしていたのか?市町村でこなしていたのではないのか?
わたしも詳しくはしらないので、間違いかもしれないが市町村の管轄で処理をしていたように記憶している。


だいたい、市町村が反対するほど人手がなく汲々としているとは思えない。
全てとは言わないが、ほとんどの役所が余剰人員や所内失業者やふんぞり返って何もしない役職者が何割かいるはずだし、民間に比して事務合理化が進んでいないように思う。


そんなところが反対するから止めるというのは、権力者とも思えぬ所業である。
権力を保持したものは、反対派がいても国民のためであれば強権発動をすることが正しい選択であり、役人には事務処理の合理的システムを徹夜してでも作り上げるのがお前たちの役目だというべきではないか。
実際、事務処理がたいへんだからなどという役人の理由に屈する時点で、大臣失格である。


実は、長妻の厚労大臣の人事には一抹の不安を覚えていた。事後的に解った風に言うのではなく、それには理由があるのであ。


彼は確か共同通信の記者上がりである。編集記者が他部局のマネージャに就いたとき、しばしば組織の混乱や停滞や人事的揉め事が起きるケースを見てきているからである。


記者などは、真実の解明やモノゴトの本質に迫る能力は訓練されるが、組織を切り盛りしたり人心掌握するなどの能力はあまり鍛えられていない場合が多いからだ。
また、そうしたことが不得手だと自覚しているがために益々外回りに精を出すタイプが多いためである。


従って、長妻が記者の本領を発揮している間は年金問題の闇が一気に明るみに晒されて、大きな前進をした。
しかし、それでではその実務的諸問題を机にへばりついて解決処理するとなった時に、うまくいくのかなという危惧をもったということである。


時間がたてばたつほど、この責任のはっきりしない「地域連合」とかの組織が温存され天下り先にならないとも限らない。
ここは民主党は長妻の無能をしっかり党として支えて公約を実現すべきだろう。


わたしも定年後の金銭感覚が今や日々100円単位のやりくりにまで落ち込んでいる。老人の1,000円は現役世代の10,000円だと思って欲しい。
これこそ緊急性の高い問題ではないか。



廃止のはずの「後期高齢者」当面維持…長妻厚労相

 長妻厚生労働相は3日、民主党が先の衆院選政権公約マニフェスト)で掲げた現在の後期高齢者医療制度の廃止問題について、もとの老人保健制度(老健)は復活させず、新制度を創設するとともに、来年度中の現行制度の廃止は断念する方針を固めた。

 複数の政府関係者が明らかにした。

 民主党内には、政権交代を印象づけるため、現行制度の早期廃止を目指す意見もある。しかし、それには老健復活が前提となり、長妻厚労相としては、全国の自治体や医療関係者の反対が強い旧制度復活は現実的でないとして、時間をかけて新制度を策定し、移行する方針を固めたものだ。

 関係者によると、長妻氏はすでに先週、「新たな制度の案を二つ検討するよう」省内の担当者に指示。これに伴い、今月26日にも召集が予定される次期臨時国会と、来年の通常国会への廃止法案の提出は見送られることになった。

 民主党は昨年6月、後期高齢者医療制度を即時廃止し、老健を復活させる法案を、社民、国民新、共産の3党とともに参院で可決。マニフェストでも現行制度の廃止を掲げた。長妻氏も就任後の記者会見で廃止を明言したため、代わりの制度として老健が復活するのかどうか、注目されていた。

 老健制度に戻さない最大の理由は、運営主体が都道府県ごとの広域連合から市町村に戻り、事務作業が膨大になるなどとして、市町村などからすでに反対意見が出ているためだ。

 長妻氏は今後、自治体の意見なども考慮し、マニフェストで掲げた国民健康保険と被用者保険を統合する「地域保険」の制度設計に着手するものとみられる。

 ただ、民主党内ではなお、老健復活を盛り込んだ廃止法案を臨時国会通常国会に提出するよう求める声がある。連立を組む社民、国民新両党も同様の立場で、調整は難航する可能性もある。

(2009年10月4日03時06分 読売新聞)