■日中首脳会談中止−前原外相の対米ポチぶりが原因か


昨日中止から一転して、菅総理温家宝首相はなんとかほんの二言三言交わすことができたらしいが、菅総理が記者会見で得々と語るほど中国側が理解を示して、菅総理の意を受け入れたとは思えない。
明らかにいやいやながらと見受けられた。

この中国側の不快感は、極めて常識的な反応であり、その原因は明らかに前原外相にあると思える。

首脳会談の直前に、クリントンに会い、あれほど米国へのポチぶりを発揮してご褒美に大好きなSLの高級模型を貰った姿は、日本人でも不快だったのだから、中国の神経を逆なでしたことは容易に想像できる。

普天間基地は合意通り約束を守り、県内で進めます。
追加移設費用の要求にも検討を約束します。

呆れてものが言えない。

クリントン尖閣領域も安保対象に入るというリップサービスと実際武力衝突が起きたとき、「米軍が日本側の立場だけに立って守る」かどうかはアメリカは確約したわけではない。相変わらず領土問題は、アメリカは二国間解決を原則にしているのである。

本気で中国とトコトンやる覚悟があるなら、前原外相は自己責任でやりたまえ。
国民にひとりたりとも犠牲が出ないようにできると思うならどうぞご自由に、というしかない。

しかし平和ボケして育った前原外相が考えているほど、アジア的専制統治によるスターリニズム国家は甘くない。

大学で学んだ高坂 正堯(こうさか まさたか)あたりを抜け出ず、冷戦時代の時代遅れのセオリーどおりのことをやっていると、本当に国民を戰争に巻き込み、若者の大量戦死を見ることになる。その想像力が欠落してはいないか?

北朝鮮による拉致などという程度のものではない。
日本人は、拉致程度で結局勇ましいことをいいながら、右翼も保守派も救出義勇軍さえも送り込めていないのだ。

ようするに、中国とはひとりの人間の値段が違うのだ。格段に安い人間を大量に抱える国家とは、アメリキリスト教原理主義イスラム原理主義のようによほど宗教的迷妄に陥らない限り、先進国は戦争自体をして得をすることはありえない。

だから中国に屈せよとかということではない。
言うべきことは言う、というとき、信頼をどう担保しつつ喧嘩するかである。

少なくとも小沢一郎は、冷戦以後のスキームをアジア重視に切り替えて、中国との徹底的な人脈造りと、礼節をつくし信頼関係を築きつつ、そのうえで、日中間に問題があるというなら今すぐ解決しようと畳み掛けている。

すると中国側は、言葉につまって一言も反論しなかったという記録がある。

民主党の若手議員は勘違いしていて、黙々と政策実現に打ち込むのではなく、自分の体面維持やTVタレントのごとき表象化操作に血道をあげるのだが、こういう国防や外交の意味が良くわかっていないとしか思えない行動を取り続けている。

これでは、前原外相のような行動は、国防機密もないし、いうところの戦略的互恵関係も、常人であれば言うこととやっていることが違うではないかと思うだろう。

考えてもみなさい、仲良くしてくれといいながら、アメリカに泣きつき、アメリカちゃん中国ちゃんがねいじめるの、あんなことしてこんなことして中国ちゃんは悪いやつだから一緒に戦ってね、と当人を目の前に言っていたら、バカでも怒る。

国防機密もクソもあったもんじゃない。そんなことは極秘裏にやることだ。
無神経すぎる。

そして前原外相はアメリカに擦り寄るのではなく、中国へ足げく通って敵意のないことを十分に理解させて、敵対行動と中国側の反感を取り除き、中国を手の内に乗せきってしまうことこそが任務ではないのか。

それを学生時代に刷り込まれた、冷戦時代の親米隷属ポチを、セオリー通りに能面のような顔をして行なうことは時代に逆行していることに早く気づくべきだ。

やっていることが、ガキのいきがりだ。

現在の改革解放派が指導部を占めている間はいいが、彼らが保守派に追い詰められ失脚し、保守派が本当の反日抗戦を開始したとき、前原外相は責任をとる腹は括っているのか?
自衛隊と戦争好きな勇ましい愛国右翼は別として、普通の国民の血を一滴も流すことは許されない。