■中国漁船衝突ビデオ−機密にするようなものか?

尖閣ビデオ、ネットに流出か
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1396779&media_id=4

今ニュースで観た直後ですが、田中康夫議員が述べていた通り、あっさりしたもんだ。

報道だけみていると、何かとてつもない衝突を繰り返し、船長が甲板で暴言を繰り返していたという尾ひれがついていたから、それは極刑にしてしまえと思ったのだが、こんなもんかという拍子ぬけ。

大体、この程度のものが機密扱いされ、国民が興奮するから公開しないという方がおかしいのではないのか。
これをみたら、自分の興奮がバカみたいに思えてきた。

まあ印象は人それぞれだから、興奮する湯沸し単細胞人間もいるかもしれない。

しかし、大方の国民は冷静になれるのではないのか。

女性の陰部と同じで、見てはいけないといわれれば言われるほど、誇大妄想に陥り、事態と冷静に向き合う態度が失われる。

みれば最初興奮するかもしれないが、何度も見直すと飽きてきて、冷静に向き合うようになるだろう。

陰部を見てオタオタするのはガキである。動じないのがオトナに決まっている。

あの中国人の反日で気が狂っている連中と同程度の日本人がでてくるとすれば、成熟した先進国の威信を失墜させるものであり、恥ずべきことで、そちらの方が問題ではないか。

それとも菅内閣のように、国民は未熟なガキばかりだから、機密扱いして日本人の単細胞が中国政府を刺激しないように配慮する、と言う方が正当な判断なのだろうか。

これと併せて、昨夜のNHK特集は「Wikileaks」のリーダーインタビューを撮れていた。NHKはこの極秘活動のリーダーをよく引っ張り出せたと思う。これはやはりNHKならではだ。民放では難しかっただろう。

世界の政府の機密書類をハッキングによって入手し、全部編集することなしにナマのまま公開してしまうという活動をしているのだ。

もちろん、ハッキングは内部通報者によるもので、その秘密協力者が世界に潜航して携わっている。

これだけならばただの情報窃盗集団に近いのだが、かれらが既存メディアの権力チェックの不十分さに対抗していこうという明確な理念をもっていることを正当化しているのは、Wikikleaksと提携して、入手書類の信憑性と誤情報のチェックをするジャーナリストが世界中にやはりいるというのだ。

現在主に米国政府の軍関係の書類流出が中心らしいが、それによって秘匿されてきた情報−イラク民間人犠牲者数が政府発表よりはるかに多いことや、軍兵士が誤射によりジャーナリストを一斉射撃して大量殺害した記録映像などが流出し、政府・国家権力に不都合な情報が精力的に公開されている。

先ごろも書いたが、公安庁のイスラムテロ情報の流出も、現地ドメインブリュッセルということは、彼らがオスロを拠点にサーバーを置いて活動しているということを考えるとひょっとしてと思うが、彼らは責任の所在を明示しているようだし、今回のように明示されていないとするとやはり違うのかとも思う。

このWikileaksの活動趣旨は大いに共感するものだが、NHK国谷さんも指摘していたが、プライバシーの保護が考慮されておらず、全て関係者のネームが晒されている。

特に今回公安庁の情報被害が既に出始めており、テロリスト協力者でもないのに、誤認されて自分の名前が乗っているとか、警察協力者の日本人が、夫がイスラム人なのでテロリストからスパイとして命を狙われる恐怖に怯えているなどの実害である。

Wikileaksにしてみれば、伏字がないことでその信憑性を担保しているのだろうが、やはり権力の狗や不当な米軍協力者だとしてもプライバシーは守られねばならず、理念と活動には賛同してもそうした個人の諸権利が保護されないことは問題とされなければならないだろう。

しかしこうしたジャーナリズムの劣化が世界各国で共通に蔓延している時代に、間違いなくWikileaksは補完メデイアとして成長していくし、既存ジャーナリズムの怠慢を告発し淘汰に向かわせることは間違いない。

それにしても、情報をどのような文脈で読解していくか、この力が益々問われる時代になった、ということだ。

そのためにも、国民の民度と共通認識獲得の義務教育は大事になり、税金投入支援が是とされなければならない。

ただの情報過多は、かえって溺れる国民を増やし、論点把握、状況文脈をは把握できない愚民を増やして、愚者の楽園となっていくだろう。

グラムシフーコーが指摘したように、現代社会は、かつてのようなむき出しの国家暴力ではなく、支配的イデオロギーをメディアを使ってシャワーのように浴びせ続け、正常な思考自体を破壊し、支配層に訓育された国民を作り上げて行く。

かつてわれわれ世代が、アメリカへの反感を切除させるために、「名犬ラッシー」という美しい家族物語のホーム番組を見せられ、全国民的人気番組によってアメリカ的家族へ憧れを獲得した。

これがCIAの対日心理戦の一環であったことを、50年もたって知り愕然としたように、われわれの常識は、いたるところで支配層の提供する情報のワナが仕掛けられていると危機感を持っておく必要がある。

難しい時代になった。しかし負けるわけにはいかない。自分が支配層でも既得権益層でもない限りは。