また吹っかけて実をとる橋下手法か、市バス運転手給与40%カット

まあ日々よくもこれだけ世間をびっくりさせてたり、腹をたてさせたり良くも悪くも橋下市長はタレント以上の注目度だ。
おかげですっかり橋下ウォッチャーみたいになってしまった。
腹立たしいかぎりだ。


市バス運転手給与40%カットが打ち出されたが、いつもの橋下テクニックだなという感じだ。

まず基本的には、私企業のバス業界とのあまりの格差があるならば基本的に是正は支持する。
しかし、730万円が高給かといえばそれぐらいは保証してやりたいと思うのは私だけか?
この給与は、定年後のわたしより遥かに高いが、それをもって叩こうとは思わない。なぜならもともと公共性を主たるコンセプトとして成り立っているのが市営バスだからだ。公共性が優先される事業だから赤字でも税金で補填してサービスに務めるということで、赤字は一切許せないのなら、私企業のバス経営とおなじである。

私企業と同じ経営であるべきだというのなら、あまりに経営者(市長)は無能ということになる。
なぜなら、私企業の場合、一気に現給を40%もカットする乱暴なやり方はしないからだ。ひとりひとりの労働者にとって、現給で生活予算は組み立てられており、一気に半分近くなればどのようなやりくり上手な奥さんでも家庭経営は難しい。それは民間経営者はよく理解しているから、人件費削減は数年をかけて段階的に目標数字に持ち込むのが普通である。それもできる限り退職強要はせず採用抑制や早期退職制度でまかなうのが普通である。

(それを選ばないのは橋下の下心に基づいている。手柄を早くたてたい、という一点だ。そのためには運転手の家庭などどうでもいいのである。)

そんなことが解らずに本気で40%といっているなら、橋下は余程無能でしかない。
しかし、橋下の持ち味は弁護士の業務範囲であり、こうした実務的な対処の仕方はよく解っているはずだ。

狙いは自著のハウツー本にある最大限の過大な要求をしておいて、自分の確実に確保する利益へ落着されるというテクニックをまたも使おうというのだろう。

これから激しい労使交渉に入るわけだが、橋下はほくそえんでいるはずだ。できるだけ激しく演じて己のパフォーマンスを高める作戦にでるだろう。それによって、20%で落着してもそれは想定の範囲で、市民の拍手喝采によって人気は維持でき、国政選挙への莫大な投資となるのだ。

労組が騒ぐほど橋下には利用価値があり、労組は下衆な市民を敵に回すことになる。むづかしい立ち回りが要求される。この橋下手法の術中を抜け出るほどには、これまでの対応を見る限り、労組幹部には切れ者も労働者権利擁護に命をかける人材もいないだろう。

市民を納得させる闘争の組み立てができていれば、役人という敵を作って民衆を熱狂させるネオファシズムは阻止できていたはずだ。それが選挙敗北後一向にできず、つまらない独裁だとか個人への政治的圧力をするだけだった。

労組もまた橋下同様、そこには大衆蔑視があり、ステロタイプの権力=悪=独裁者という図式を抜けられず、橋下の劣情を煽っては大衆が下衆な存在だというところで支持を獲得する方法に見合っている。

それはすでにごく一部の大衆で、大方の市民はもっと理性的できちっとした論理と政策での静かな説得に十分耳を傾ける存在だということを労組側は知っておくべきである。従って日頃の情報発信と論議をオープンにしておく必要がある。
(市労組専用のウェブサイトやYouYubeなどでの活用)

いずれにしても、運転手の給与カットと民営化は市民の足を奪っていく方向に向うことは確かで、市民に投げかけかけられた問題だということを大阪市民は識っておくことが大事だ。