嘉田知事を恐喝する電力マフィア、屈するふがいない関西広域連合

関西電力が「停電」を武器に企業を焚き付け、自治体の首長たちを脅していたことが現職知事の証言によって明らかになった。「再稼働は認めない」から一転「夏場の再稼働は認める」とした滋賀県嘉田由紀子滋賀県知事がきょう、日本外国特派員協会で開かれた記者会見で暴露した。

 海外記者から「再稼働反対の声を過激にあげていたにも拘らず、180度スタンスを変えたのは何故か?」と問われた嘉田知事は次のように答えた―

 「(夏場の)電力不足で“停電になったらどうする?” “お前は責任取れるのか?”と関電、国、企業から脅された。大阪の橋下(徹)さんとも話し、“電気が停まったら仕様がないわね”ということになった」。

 嘉田知事が記者会見を終えてエレベータに乗るまで、筆者は単独でインタビューした。

田中:専門家は夏でも電力は足りる、と見ている。こちらの方が「電力不足」を吹聴する政府のインチキなアナウンスより説得力があるが?

知事:「300万キロワットは圧縮できると飯田(哲也)さんや古賀(茂明)さんと詰めてきたけど、関西電力が個別企業にこうした(知事は圧力をかける手真似をした)。そうしたら個別企業が“税金払わない”“(滋賀県から)出て行く”と言い始めた」。

田中:彼ら(電力会社)は電気を停めたいと思ったら、停めることができますからねえ?

知事:そうそう。

 電力不足で電気が停まるのではない。電力会社が自らの都合のいいように電気を停めるのである。それは「3・11」直後に起きた東電の計画停電でも指摘された。

 関西電力関西広域連合に圧力をかけて「再稼働を飲ませた」ことは、一部メディアが仄聞として伝えていた。だが、ここに来て政治家が、圧力の実態を公にし始めた。

 昨日(12日)は国会の院内集会で、民主党衆院議員が関電労組から「再稼働反対の署名を撤回しろ、さもなくば次の選挙は推薦しない」と恫喝されたことを暴露している。

 「ナントカに刃物」というが、「電力会社に停電」ではないか。脅しに怯まず電力会社の悪質な手口を白日の下に晒す公人がもっと出てきてほしいものだ。

http://tanakaryusaku.jp/2012/06/0004481


以上は田中龍作氏のブログからの引用である。
さすがジャーナリスト田中氏らしい、マスコミがほとんど報じない電力会社や政府官僚らのマフィア化した原発推進派の実態を報じている。

わたしは嘉田知事をずっと支持し続けてきた。いまもその政治姿勢を高く評価するが、今回の脱原発での屈服は残念でならない。

もちろん第一義的には原発マフィアを許すことはできないし、言語道断である。
それは言葉を越えて憤りを感じている。

しかし、である。
嘉田、橋下など関西連合の首長のあまりにも大飯原発再稼働反対のぶち上げのボルテージに反して、そのあまりにも安易な腰砕けはいぶかるばかりだ。

悪辣な原発マフィアがさまざまな圧力や恫喝を仕掛けてくることは私のような素人でも予想していた。政治のプロがそれぐらいわからなかったとは言わせない。

過去に、福島県では佐藤元知事が原発の危険性に気付き、一層の安全性を求める動きをしたために東電と官僚の依頼をうけた検察特捜部までもが連動して、汚職容疑で冤罪をでっち上げて佐藤知事を失脚させたことは周知の事実である。

今回はフクシマ後であり、首長が断固とした反対運動を県民とスクラムを組み、世紀の大衆運動を立ち上げれば原発マフィアとタイの勝負も可能であったと私は思う。

特に、大阪では橋下不支持のような私でさえもこの件については橋下を支持したわけだから、大阪でも滋賀県でも相当な県民運動になったはずである。

電気を止めるなら止めろと言えばいい、企業が出ていくと言うなら行けと言えばいい。それ以上に知事としてわたしは住民の安全性を確保する使命があると言えばよかったではないか。
脱原発派の代替えエネルギーへ移行しようとする企業と組めばいいし、自ら脱原発イノベーションを起こせばよいではないか。
電力エネルギー参入の誘致企業などこれからいくらでもでてくる。

すくなくとも、昨年の「電力不足」が仕組まれたマフィアの謀略であったことは府県民は知っている。万一今夏実際に電気を止めたならそれは業務妨害であり、犯罪として告発すると応酬すればいいのだ。病院なんか自家発電を持っているし、医師たちは事態を理解して嘉田知事に加担してくれることは間違いないはずだ。

とりわけ新しい政治を標ぼうする橋下が、府市民を信じ、ともに闘いの旗を掲げなかったことは、結局民意民意を言いながら、民意を信じず、自党派の安全を優先して寝返った行為は、新しい政治のなんたるかが全く分かっていないと言わざるを得ない。
民を信じて自分を企投できない政治家は新しくもなんともない。

県民や府民の生命と生活安全を、旧来の予定調和的世界に押し留めてしまった。
自己の政治生命をかけても大飯原発を止める気は最初からなかったのではないか?

私たちが求めている政治家は、独りになっても「このことだけは」実行するという、姿勢を示せる政治家である。それにしてはあまりにも今回の関西広域連合の首長たちはあっさり期待を裏切ってくれた。
ふがいない限りである。