ナルシシズムと他者性を欠落した安倍靖国参拝と百田尚樹の愚昧

百田尚樹さん、参拝を進言 「国民の代表として当然」
(朝日新聞デジタル - 12月26日 22:44)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=2704064


安倍首相の靖国参拝の政治効果は、間違いなく偏執偏向反日右翼のパククネ大統領に正当性を与えた感は否めない。ニューヨークタイムズ、ウォールストリートジャーナルなど、アメリカの知識層愛読の新聞はこぞってパク大統領の異常さを正常な反日政策に変えてしまったと報じ、安倍は反日勢力に塩を送ったと報じているようだ。

実際パク大統領の反日政策は韓国内で批判が激しくなり、ジャーリズムや識者が批判を開始しはじめた矢先であった。日韓副事務次官級会議が準備され開催を目前に吹き飛んだ。中国でも経済団体と議員連盟が中国側との会談がキャンセルされ、予定変更して帰国している。
わたしの知人で日韓問題を論じる韓国ではきわめてリベラルな反日反韓を克服する言説を展開し若い人たちに確実に影響を与えている朴裕河教授は、靖国参拝の数日前には、日本側の会話を持とうとする働きがあるだけ安倍首相の方がましだと評価していた。それら親日リベラル派を韓国内で再び窮地に追いやったことは間違いないだろう。


安倍首相に参拝を進言したという百田尚樹橋下徹などは、歴史をほとんど無視して、自己自身にかかわる幻想性のなかだけで政治をみているから、極めてリアリズムを欠いた国益を無視した政策になる。

そこでは他者性が欠落し、浪漫主義的なナルシシズムだけが権力の形をとって暴走している。
とてもリアルな国際社会の利害関係に拮抗し、国益を全うする力とはならない。

国益とは何か。
一国の宰相であっても、主観を抑えて国民の実質的利益を確保すること。
そう主観を押さえて、直裁に言えば我欲を押さえてと言った方が妥当だろうか。
戦没者にたいして持つ畏敬の念は、そこから湧いてくるはずだ。

主観的には、もっと学業をつづけたかった、
よき夫として妻と幸せな家庭を作りたかった、
娘が嫁にいくまでは父親を全うしたかった、
という戦死者の主観を越えて国益に殉じたと思うから尊いという感情が湧くのであろう。
安倍首相はそれに感動しながら、自身は主観的イデオロギーで動いた。
主観的歴史認識で、我欲全開の靖国参拝をしてしまった。

国民のトップが、自身のナルシシズムだけで、政治効果として軋轢と不安定化だけが最初からわかっていて参拝をしたことは、明らかに尊敬に値しない、政治家として失格だろう。

しかもあれ程日米同盟と自分で連呼して、軍事費を上げ、秘密保護法を作り、そんな同盟国から警告を受けても無視して、同盟国は大事だなどとよく言えたものだ。口先だけなことがよくわかる。

問題の多い会社は、トップがイエスマンばかり側近にするが、安倍首相は今そんな状態だ。
百田などはもともとテレビ屋で虚業が身についてしまっているためはなから国益だとか外交のリアリズムなど視野にない。
思想的勉強なんか何もしてきていないから、橋下共々中学生なみの低能でしかない。百田のテレビでの発言は妄想の域にあるといっても過言ではない。
問題は今政治家までもが、多くが、他者性を欠いたナルシスの内に自閉していることである。

安倍首相が記者会見で、戦死軍人たちに「戦場で散った」とか「母や子を残し」なんて情緒的フレーズを散りばめているが、それこそが日本人の克服すべき課題だったはずなのだ。
大東亜戦争の敗北は、合理的思考ができず、情緒的ナルシシズムに埋没した日本人の集団心性にあった。
驚くなかれ、開戦直前石油の備蓄を政府は正確に掴んでもいなかった、戦争やろうというのにだ(笑)。
それで鬼畜米英など数々の好戦的標語をまき散らし、それも和歌的五七調でナルシスティクな日本人にしか通用しない情緒を全面化しておっ始めたわけだ。
百田の愚昧は、ゼロ戦を賛美してるようだが、合理的に考えれば貴重なパイロットとゼロ戦を帰還させない戦法は、ジリ貧にしかならないことは中学生でもわかる。
勝てるわけがない。

その非合理にスポットを当てず、情緒的にナルシスティクにマスターベーションするから、他者性が欠落した思想的欠陥をさらけてしまうのだ。
今の若者なんかも大方この類いだ。だから百田の本がベストセラーになったりする。

安倍首相はとにかくお友達が悪い。

私はリベラル派が反対する理由からではない。
中国韓国の内政干渉は苦々しく思っている、だが同じナショナリズムの水準に降りて反発するだけなら問題はこう何度も蒸し返されないはずだ。それでは解決しないから、いつまでも不毛なまま後続世代に残すのである。

私の解決策は以下である。

1、靖国は軍人だけ祀っているから反対だ。しかも軍人の顕彰をしているにも拘わらず、追悼にすり替えていから反対だ。
総力戦で軍命により死亡した国民、戦没者すべてを追悼するべきである。

2.靖国の戦死軍人は植民地先からみれば加害者であるこの事実は、日本国民の追悼意識だけでは 解決しない。現に抗議がくる。これは複雑化する東アジアの安定化という国益から判断が必要だ。

以上から解決策として、

1、千鳥ヶ淵墓苑を中核とした新たな国民的追悼施設を作る。政府と国賓は新追悼施設で戦没 者追悼行事を執り行う。軍人の顕彰はしない、追悼に限定する。
靖国は一民間の神社であるから、A級戦犯を 祀つろうが自由である。
これにより、靖国の軍人だけ顕彰する薩長政治の負の遺伝子である日本国家の官尊民卑が解消される。

2、A級戦犯の取扱は、天皇の戦争責任を相殺させたわけであるから、天皇の存在を認めるなら新追悼施設からは除外する。戦後体制は戦勝国との合意としてこれを受け入れサンフランシスコ講和条約があったことは歴史的事実であるから、日本は存続した。
この認定を不服とするなら、再度日本人の手で戦争責任者の洗い出しをして、国際社 会へ提出し、再度敗戦国としての国際合意と国家存続承認を受け直すことである。
重要なのは、戦後の国際合意を矛盾がありながらも出発したことが間違いだというなら、敗戦国国民として、戦争責任者を特定することである。
国家間戦争で、太古の昔から、敗戦国が指導者責任を裁かれないことはありえず、ほとんどが国家解体を常識としてきた。日本も免れるわけにはいかず、それなしで合意は得られなかったはずだ。

ざっと概要はそういうことになる。
国際社会は一国が自立的に存在できるが、北朝鮮やイランやかつての中国をみれば分かるように、同時に一国では存在できない。
日本の今の豊かさは各国で日本人が承認されてるからこその成果なのである。

安倍や百田の脳みそでは、この国際社会を乗り切り、豊かさを維持できないだろう。
それは経済的に、というだけの意味ではないことは当然だ。
他者性の欠落、これが今の政治家や日本人の最大の劣化だろう。

参考までに以下、ウォールストリートジャーナル

2013年 12月 27日 06:50 JST
【オピニオン】安倍首相の靖国参拝、朴大統領の正当性を鮮明に
By KARL FRIEDHOFF


 26日の安倍晋三首相の靖国神社参拝で、日韓関係が近い将来に改善するとの期待は消えた。靖国神社参拝は、日韓関係改善に行動を起こすのを断固として拒否してきた、韓国の朴槿恵大統領の姿勢を鮮明に正当化するものだ。
 朴大統領は最近、日本が戦時問題をめぐり韓国でくすぶる不満に新たな措置を講じない限り、安倍首相との首脳会談を開かないとたびたび表明した。
 背後にあったのは、首脳会談開催のためフェアプレーをしてきた安倍首相が間もなく方針を変え、靖国神社を参拝することへの明白な懸念だった。そのままいけば、朴大統領は国内で厳しい批判にさらされるところだった。
 安倍首相が靖国神社を参拝するまで、朴大統領の強硬な姿勢は勝ち目のない戦いだった。
 第1に、朴政権の立場は米政府とほぼ対立していた。米国は日韓関係の改善を秘密裏にも、公にも押し進めてきたからだ。米国は、域内問題の効果的な対応できるよう日米韓が3カ国関係を緊密にするよう求めてきた。戦争に対して日本側が謝罪しないことを日韓関係の改善にとっての重大な障害物としてみるよりも、柔軟性に欠ける韓国こそ非難すべきとの見方が最近、米政府内に強まっていた。
 第2に、朴大統領の対日戦略を韓国メディアさえ深刻に疑問視し始めていたこともある。日韓の協力を求める記事や論説が増え、それ自体が大きな転換だった。朴大統領は、日本に対する自らの立場について、至るところから批判を浴びていた。
 しかし、批判はもうなくなるだろう。安倍首相の靖国神社参拝は、朴大統領を窮地から救い出した。
 日本との関係悪化を放置したとして国内からの批判を浴びるどころか、朴大統領のアプローチには今や、予見性の高さが見られる。今後、ほぼ全方面からこの姿勢を貫くことへの支持を得られるだろう。この1週間で、両国の副大臣級会合が開かれ日韓関係を軌道に戻す最初の一歩になるとの、信頼度の高い臆測が広がっていたが、今となってはこの種の会合は不可能だ。
 さらに朴大統領は、対日強硬姿勢をめぐって米政府内部に存在した非公開のいら立ちが消えると期待できるだろう。靖国神社参拝は米国にとって極めて厄介なものになりそうだ。米国は日本の集団的自衛権拡大を強く表明してきただけでなく、バイデン米副大統領は数週間前に安倍首相と会談を行ったばかりだった。
 靖国神社をめぐり日本に公に圧力をかけることを米国が何度となく拒んだことが、今回再考されるかもしれない。ジョン・ケリー国務長官チャック・ヘーゲル国防長官が10月初めに千鳥ヶ淵戦没者墓苑で献花し、戦死者追悼にはこうした代替手段もあると直接的に示唆したことは、明らかに無視されたかたちだ。
 著者は前回のコラムで、韓国の国民が日韓首脳会談の開催を総じて好意的にとらえ、大多数が日韓関係の改善を望んでいると記した。しかし安倍首相による靖国神社参拝後は、この数が反転する可能性もある。
 安倍首相はもともと韓国では不人気で、複数の世論調査によると、北朝鮮金正恩第1書記をわずかに上回る程度でしかない。そして今後も、日韓関係の改善を求める朴大統領への圧力はほとんど高まらないだろう。