本年も宜しくお願いします。
初詠みの句。
男の形
至高
日の没りのここより故郷花すすき
深閑と樹樹霧中に倒れ更新す
秋空を鏡に入れてわれも入る
林檎噛むさみしければ強く噛む
芒原一隊がゆく水脈(みお)のごと
無為の日を糞(ふん)して去りぬ秋の鳥
日月の根を枯らしゆく「ことば」かな
幻影に苛まれ寒夜の浅眠り
追悼 異議なし!われらが健さん
逝く雪は背(せな)の男の形(なり)に降る
冬の霧方位不明のそこに入る
人質
至高
空に風老いゆくままの初明かり
親と子の逆転劇の三日かな
正月の階段右に開かずの間
下腹部の翳りのなかの松飾
国禁の武器を売りゆく初仕事
宝船兵器兵隊満載し
鶴は千年汚水タンクを抱き眠る
寒月光復興というコンクリート
人質や砂漠の凍つる夜の果
シリウスの血流れ砂漠の液状化
(六曜38号,2015,3月発行をさかのぼって正月の記事として掲載)