邦人のテロ捕虜を確認して半年放置して、政治利用の時がやっときた。
何度もいうが、湯川氏の救出は政府も外務省も全く本気で考えていなかった。
アイシス側の要請で、湯川氏の裁判に立ちあい、救出してくる手はずだった元同志社大教授中田考氏とジャーナリスト富岡氏の渡航を、警察外事三課を使って罪名もなく家宅捜査して監視下においたため相互連絡がとれなくなり、数少ないアイシスとのパイプを潰した。
今回も中田氏はアイシスへ殺すな、2億ドル支援は人道支援でアイシスへの敵対行為ではないとアラビア語でメッセージを発していた。
更に政府へは同じイスラム教徒としてアイシスへは救出に行けるから自分を使ってくれと申し出ていた。
しかし安倍官邸は人質は放置する既定方針のため、「テロリスト仲間」(安倍官邸は右翼でないものはみな左翼と決めつけテロリスト呼ばわり)にしゃしゃり出られては困るのだ。無視した。
これが官邸の間違いない方針だと言い切れる確たる証拠は、12月8日には後藤さん家族に身代金要求メールが届いており、後藤さんがアイシス潜入直前に接触し取材依頼したNHKは拘束されたことも、身代金のことも把握していたはずであり、しかるべき関係部署へは連絡したはずだ。家族も届けていたはずである。
にもかかわず、一切情報統制をしきリークも秘密保護法で封じながら、後藤さん人質はないものとして安倍総理は中東武器輸出外交へ発ったのである。
日本人の1人や2人の命より、政策実現と戦争憧憬を優先したのだ。
(戦争憧憬というのは、安倍総理の今朝('15.1.25)のテレビ発言でも、ここぞとばかりに「こういう事件で解決のため自衛隊を派遣できない、自衛隊法の改正が必要だ」と早速発言している。これも官邸の最初からの筋書き通りだろう)
そして救出するふりをしながら、米英のタカ派へは根回しを怠らなかった。湯川氏殺害が確認できると、間髪入れず米英が日本を支持する声明とテロを戦う同盟仲間だと持ち上げて、アイシスを消滅させようと宣言。
今回の中東武器輸出商談の強い後押しと、商談成立の確証を得たことになる。
これで日本国内は、なんとなく安心して正義はや日本にあり、湯川氏の死を悼むより、潜在的奴隷根性が米英も仲間だと認めてくれてるし良かったんじゃないか、と安堵しているのだろう。
武器輸出三原則は国会論議もなく、官邸数人の意向で安安と国是を潰していく。
アイシスは極悪非道だから、今回身代金を払えばまた標的にされると子供騙しの理屈で、民主主義が大事だという東大話法がでてきた。
そうか、ならば大事な民主主義のために、貴方が人質交替を申し出てはどうか、と思うが当の発言者たちは知らんぷり、民主主義など信じちゃあいないのだ。民主主義こそ、いかなる事情があるにせよ命より大事なものはないという思想だろう。だからわれわれはアイシスの手法を非難しているはずだ。
この民主主義国民の思考停止の間隙にテロは発生することがわかっていない。
この劣化した民主主義国民は、空爆の大量殺人は非道でなく、1人を殺すテロの方が非道だという情報操作によるメディア洗脳に完全にいかれているのだ。イラク戦争以降の米英による空爆による民間人大量殺戮は自然現象のようにあっさり報道する。ニュースの軽重の扱いはそのまま見る側の受け止め方の軽重につながる。
だから、半年も政府も国民も放置して、選挙やりーの、集団的自衛権通しーの、秘密保護法を発効しーの、平気で中東で武器輸出商談しーの、イスラムすべてから嫌われいる弾圧国イスラエルと国旗を並べその前で安倍総理がアイシスを消滅させるために戦う国へ2億ドルの支援を誇り、イスラエルと共にテロと戦うと宣言。余りにも無神経で、いくら人質放置プレーとしても度が過ぎないか。
かつてダッカ日航機ハイジャック事件の折は、福田総理はタカ派の頭目であったが、世界から武力突撃を迫られながら、「人命は地球より重い」と声明をだして話し合い条件闘争で勝利、人質全員を無事解放させた。
戦争の愚劣さと戦争は国民を滅ぼすことを知っていた世代は、テロは悪だなど子供騙しのイデオロギーだけでいざとなれば判断しない。そこに日本の保守派が極めて質の高い政治が確保されていた。
今の自民党は右翼イデオロギー、つまり戦争遂行国家への憧憬と転倒した排外主義イデオロギーしかないのだ。
資源もなく、若者の血も流さない国が、金でケリをつけて何が悪い。金で世界を支配している被差別民ユダヤ民族は、それによって国がなくても命永らえてきた。
今回だけ払っても、次からは二度と払わない徹底的周知と、渡航禁止を行うことだ。この洗脳が無意味なのは米英は金をはらわなくても人質事件も国内テロも発生している。金を払ったフランスはアイシスによる人質事件はその後起きていない。パリのテロは連携した国内人よるものだ。政治はリアリズムだ。安倍官邸のように自分のイデオロギーに対して不都合はなかった事実にしてしまうことはいけない。
それにしても、アイシスは日本国内の反応や情報をかなり正確に得ている。ネット世論の分析やメディア発信を正確に分析しているようすがわかる。
後藤さんではなく、湯川氏を殺害し、後藤さんには比較的ハードルを下げて人質交換で飲める条件に切り替えてきた。
湯川氏が日本初の戦争請負企業の企業家であり、極右田母神氏の弟子筋であってみれば、後藤さんの立場と人格の違いまでシッカリ掴んだ上の要求のように思う。
なんとか、後藤さんは助かって欲しい、祈るばかりだ。