普天間問題/閣僚福島大臣罷免の変−社民党福島党首の怠慢

福島党首の罷免は、以外とあっさり出た。
このあっさり感は、それだけ民主党自体が追い込まれている裏返しだったということだろう。

福島党首はつっぱね続けたことだけは、とりあえず褒めておきたいが、自分で自画自賛し、また社民党が鬼の首でも取ったように左派勢力が囃し立てるが、問題はそれほど単純ではない。

民主党がますます自民党化し、経営資本寄りの新自由主義政策をを強めていく可能性があるから、社民党はいずれにしても今の無能集団のままでいる限り、沖縄県民にも国民にとっても積極的障害物になるだろう。

従って政権に留まれば、福祉を掲げながら自民党の反福祉政策にズルズル巻き込まれていった公明党の悲劇に似てくる。
離脱すれば、その無能さは無能さのまま、政策実行力など身につかないただのマスターベーション政党に終始し、沖縄県民や国民の真に変革を求める大衆の意思を食い物にして党勢拡大へつなげるだけの、いつか来た道−昭和の社共のように裏切り路線しか歩めない。


あまり社民党のことを考えていなかったが、政権与党になってから社民党はほとんど仕事も政策実現もはたしていないだろう。

派遣法でさえ民主党と官僚の骨抜きを阻止できなかった。

今回の基地問題も、その主張は立派なのだが、中身はカラッポだった。

福島党首は、政治アビールに集会やTVにでまくって人気取りする間があったら、週二回の閣僚会議に出席して実務的に鳩山平野を追い込んでいくべきであり、目ぼしい官僚を手なずけて実務案の作成をすべきであった。

民主党も小沢を除いては、極めて実務能力がないのが欠陥なのだが、社民党はさらにひどい。自民党並である。
しかし自民党は権力を持っていたために、ブレーンを養うことができたが、社民党はそれができない。従って党組織のビジョンをもたぬままジリジリ議席を減らしてきた。

今回の福島党首の動きを見ていると、看板の社民主義は金看板だが、内実は全く空虚な政党だということがよく解る。

民主党がこの八ヶ月を迷走というなら、社民党がいくらでもイニシアティブを取ることもできたはずだ。
いってみれば、福島社民党の不作為の作為であって、本気で沖縄県民のことを考え現実的な撤去のロードマップなどひとつも作ろうとしなかった。

厳しくいえば、沖縄県民の意思を政治的食い物にして、社民党プロパガンダに利用しているといっても過言ではないだろう。

そういう点で、旧社会党共産党の体質と全く変わっていない。

昨日と今夜のTVで、鳩山総理に呼ばれて意見具申した小川和久と民主党ブレーンの寺島実郎がいみじくも証言していたのは、防衛問題については、防衛官僚に課題検証を丸投げしていたということだ。
また、鳩山総理は昨年11月段階で既に県外は難しいと自分で語っていたという。
これでは最初から自民党案を進めてきた官僚が検証しようもない。結論は先にあったということだ。

鳩山総理のこの千歳一隅のチャンスを潰した禍根は、将来の沖縄基地撤去問題をさらに複雑にして、アメリカ官僚が沖縄に拘りつづれる道筋を更に強くつけてしまった。

アメリカでも官僚は、海兵隊の訓練施設などを確保するより日本の負担する駐留総予算を確保することの方が優先順位からすれば国益のポイントが高いからだ。
(事実、海兵隊は必ずしも沖縄でなくてもよいと軍関係は述べている)
実務的に当初計画通り、軍がグアムやテニアンでもよしとしても、官僚は日本存置に拘るだろう。自国に移設すればコストは莫大なものになる。

長期のプロジェクトを立ち上げて、内実において基地撤去をアメリカにぶつけるしか方法がないことは誰が見ても明らかなのに、民主党社民党も空虚のままである。
その意味で、自民党化してきている。

五月決着ではなくて、五年決着を目標に防衛のプロを入れてプロジェクトを立ち上げ、総合的国防策の中に米軍基地撤去をどの程度位置づけるかという地道なことを、本当は社民党がやるべきなのだ。
他に売り物がないんだから。

そして恐いのは、当の問題をかき消して、明日からは連立問題一色にマスコミはなっていき、愚民はそれに引きずられて基地問題解決はまた遠のいていくのである。

※註:この記事は福島罷免直後にかかれたものであることをお断りしておきます。