■始まった小沢事務所元秘書(石川他三人)裁判−検察の不思議だらけ

石川元秘書(現衆議院議員)他3名の被告の、いわゆる陸山会事件の裁判がはじまった。

経過のおさらいはしないが、どう考えても検察の起訴には首を傾げざるをえない。

不動産取得をめぐる金の出し入れの時期に食い違いがあった、というものだと思っていたが、そうではなくて、その食い違いの記載自体を問題にしたのではなく、「食い違い記載に悪意があった」といのが訴因となっている。

つまり、期ズレ自体は修正申告ですむため、訴因にできない、あくまで何かを隠す意図があったために犯意をもってずらし記入した、というのだ。

ちなみに悪意であっても、そのまま犯意とはいえない。慣例では形式上のミスとして犯罪扱いをしていないからだ。例えば、節税のいきすぎで脱税に問われるケースがほとんどで、その場合は修正申告で済んでいるのと同様な扱いだ。悪意があったとしても、形式犯ですまされ、刑事裁判に問われるのは余程の場合である。

つまり、悪意があったというストーリーは、水谷建設からの賄賂1億円を導くものだが、そしてこの裁判が1億円授受に焦点が絞られるような進行になってきており、マスコミの論調も記載問題ではなく「小沢の金の出所解明をすべきだ」(読売新聞)とそこが主題のように検察の尻を叩いている。

もし金の出所が問題というなら、最初から収賄罪で起訴すればいいのである。そこは正面から立件せず、つまり実際には大々的な家宅捜査でも証拠がでなかったためなのだが、それは立件をせずに、裁判の主題をこの贈収賄に焦点化しているのは、素人目にはやはり小沢ダーティのキャンペーンをとにかく持続したいがための審査会起訴議決だったとしか思えない。

さらに不思議なのは、この検察主張の贈収賄の根拠となった水谷建設元会長水谷功の証人申請を検察側は要請しておらず、逆に弁護側がしていることだ。

この賄賂5000万円*1を二回渡したとされる証拠はなく、水谷功の証言のみである。物証はないわけだから、その価値は検察は解っているはずだ。
逆に弁護側が証人要請しているということは、不利のはず、それを要請したということは余程授受はなかったという確信の表れであろう。

今日発売の週間朝日は水谷功のインタビューを乗せているらしい。山口編集長のtwitterによれば、水谷はのらりくらり明言をさけるのではないか、と述べている。
インタビューでは、金の要求は受けたが誰からだったかは覚えていない、というもののようだ。
何を言い出すかよく解らないいかがわしさの付きまとう人物である。

私は以前も書いたが、偽証の冤罪を起こしている人物である限り、どちらに転んでも裁判官からみれば信憑性は低いと受け取られるだろう。
石川被告側にとっては、授受はなかった、という証言が出れば有効に働くとしても。

なお、謀略好きの小泉元総理の私設秘書飯島勲の息子が、水谷建設の関連会社に勤めているということも、この水谷功元会長のポジションを推測させる。政界の裏で跋扈し、己の利害で動くことを生業にしてることだけは確かのようだ。

マスコミ論調は、小沢ダーティキャンペーンの熱気もなく、逆に小沢側無罪の公算がたかいと見られ始めた今、放映の優先順位も三番手四番手であっさりしたもんだ。
自分たちの誤報に批判がでることを恐れているのか?小沢を被告人に釘付けできて政治力をそぐ目的が達成されたと思ったのか?触らぬ神に祟りなしといった風である。

国民はいずれにしても、小沢排除と一緒に流された「国民生活が第一」を執念をもって奪い返すしかない。

*1:クロネコヤマトのA3茶封筒に入れたということだが、万冊でも5キロあり、嵩張って入らないともっぱらの検証意見が多い