痴漢冤罪にわたしも加担してしまう恐ろしさ

多忙にて今頃かくのだが、それが却ってよかった。
人間の先入観は恐ろしいということを自分自身で確認した。

週間新潮で、痴漢無罪判決を勝ち取った名倉防衛医大教授のインタビー
記事が載っていた。それを読むまで、この無罪判決を下した最高裁判事が3:2の僅差だったことをニュースで知っていいたため、わたしはきわどい評決になお懐疑を抱いていた。つまり名倉教授は有罪ではないか?


しかし名倉氏の状況説明と逮捕時点の捜査をしり、無罪にはなったが、事実関係の見直しをせぬまま審理はつくされたとしていきなり無罪としている奇妙さを感じた。これは要するに被告人の利益になならずとしたにすぎない、つまり判断できへんから無罪にしてしまうといことにすぎず、はっきり事実関係で間違いや、と言っているわけではない哀しさがある。


わたしは都心しか知らないから、小田急線を地図で調べた。割合高級住宅地を走っているようだ。名倉氏と被害者の女子高生が乗り合わせ密着しながら向ケ丘遊園駅で一端ホームへ吐き出されまた密着して乗り合わせる。その直後から女子高生の前から下着に手を入れて陰部を直接触られたという「事実」の訴えである。



名倉氏は、まず女子高生はほとんど認識していなかった。女子高生は犯人は乗り込んできたとき正面に覆いかぶさるようにして網棚に鞄を置いた。名倉氏は弁当のしるがこぼれたことがあるので、女性の背後から小声ですいませんと声をかけて女性の背後から網棚にそおっと置いた。
女性は女子高生とは思わなかったし、正面にも立っていない、と述べいてる。
このへんは当事者でないとわからないことである。


しかし、どう考えても次の女子高生の証言から直ちに名倉氏だと決め付けるのは不自然だ。この細かい事実は報道されないので、一番「通常の判断」が欠落しただの印象で「有罪だろう」という勝手な推測をしてしまっていた。自分でも恐ろしいことだと改めて思う。


女子高生の訴えは、向ケ丘遊園駅で再び犯人と密着して乗車するのだが(裁判官は回避行動をとらないここを不自然としている)、成城学園駅まで直接陰部を触られたという。この駅間は、地図でみると4駅区間ある。私鉄だから短いのかもしれないが、それでも10分以上はあるだろう。その間身じろぎもせず触らせたままだったのか?


まず密着して正面から手をパンツの中に入れるのは結構むつかしい。
むしろ横とか後ろの方がスムーズにいく。どうしても体勢は崩れる。
女子高生はこのときされるがままにして、名倉氏を成城学園駅で下車した時点でネクタイをつかんで駅員を呼んだ。
普通ならそのての行為では4駅間は長い、そのときに手を押しのけるとか、手を掴んで止めさせるとかしなかったのか?


また、この女子高生は身長が160に満たないがウエストは91センチもあるかなりおデブさんだということだ。そうすると満員で密着しているときにだいたい陰部を触っている手は見えないだろうということだ。
これも直ちに名倉氏の手であったと特定するのは不自然である。


駅員に引き渡されて、名倉氏は駅員にも駆けつけた警官にも何の会話らしい会話をされずに、署に連行され30日間拘留される。


取り調べの問題点。
で、警察官は侮蔑的な言葉を吐きながら、指の繊維付着検査とDNA鑑定用の「証拠採取」をおこなった。


名倉氏は、この採取を無実証明の証拠になると喜んだ。
しかし、一審二審とも有罪。
ではこの頼みの証拠はどう判断されたか?
繊維は「指に付着てから剥脱する場合もある」という理由で証拠とはされなかった。
DNAについては、最後まで曖昧にされたまま隠された。要するに証拠品自体をあいまいにして無いものとして扱った。後で判るのだが、これもDNAは検知されていなかった。


そこで、名倉氏は奥さんに頼んで女子高生と同じバンツを捜し求めてもらい、実験する。その繊維質だとさわれば確実に付着することを証明した。しかしそれは全く認められなかった。


なんという杜撰な審理だろうか。メディアの事実経過の棒読みを聞いているだけなら、全く常識や懐疑が働かない。恐ろしいことだ。


さらに問題なのは、拘留してから拘留期限ギリギリの30日間際までで検事の調べはなく、ほったらかしであったとのことであった。


誰が聞いても女子高生との事実認識に大幅な食い違いがあり不自然なので、弁護士も名倉氏も関係者はすぐ無罪になると軽く考えていたとのこと。


名倉氏はいう。「ぼくは、15年も女子高に勤務していたから、この年齢がいかに潔癖かよくわかっていますよ。そういう性癖があれば女子高なんか勤まりません。」



確かにこれは説得力がある。わたしなんかは、娘可愛さで近くににじり寄っただけで、きもーい気色悪ー、頭おかしいんと違うかーと一喝される始末である。こういう性癖はすぐ噂がたつものである。



しかし痴漢事件はわれわれが考える以上に、一旦嫌疑をかけられると一切の弁明を聞いてもらえないという立場に一気に突き落とされるということのようだ。



俺はシロなんだから警察でもどこでも行ってやるわなどとイキがったが最後、一生痴漢のレッテルを貼られることになる。


この名倉氏の話を読まなければ、名倉氏はそれでもクロだろう、と思い続けたであろうし、自分のへんなイキガリはシロをもクロにしようとするプロにあっては全く勝負にならないのだと思い知らされた。


これで植草教授の痴漢冤罪も無罪となることを確信した。