バイデン民主党勝利はなぜできたのか、マスコミでは分からないこと。

アメリカ大統領選挙は、ほぼバイデンの勝利が見えてきた。バイデンは勝利宣言をして、過去に亡くなった妻と娘と息子の墓参を済ませたようだ。

 

トランプは証拠も示さず、不正選挙だとして訴訟にふみきるようだと言われている。

しかし陣営は不協和音と責任のなすりあいで崩壊しかかっているとも伝えられているが、コアな支持者は武装して負けを認めず証拠もない不正選挙を言い立てている。

 

TVや新聞でしか大方の庶民は状況が分からないのだが、内実がどうなっているのかちっとも分らなかった。

日本のマスコ芸者や学者の解説は、いくら聞いても腑に落ちない。

右派と保守、あるいは日米同盟の犬は、トランプ支持が多かった、

一方リベラル(もどき)は、バイデン民主党支持が多い。

常識的にみれば、勝敗は僅差であり、無茶苦茶に見えるトランプが7千万票もとっているわけで、その支持基盤は内向き景気回復要望やマッチョ政治を好む人たちだと言われるが、あれほどの口から出まかせのフェイクとヘイトを連発し、ツイッター社からアカウント停止されるような大統領をなぜ支持するのか。

バイデンの民主党の方も、選挙運動の実態はセンセーショナルなやり方もないので報道が少なく、実態がよく分からなかった。

 

こういう時は、やはりSNSに頼るしかない。そういう時代になったことを痛感した。

アメリカの知人や在米経験者に生の声を聴いていくと、若者の多くはバイデン勝利に涙を流して喜んでいるようだ。

それは、経済的格差、ヘイト、人種差別、公権力のマイノリティーに対する暴力によって分断が、トランプになって大衆の間にそれらを支持し、同調する動きが顕在化した、心ある人たちは、それに大変怒り、憂慮してきた。それが終わるのだという安堵と歓喜が湧き上がっているのだと。

そこまでは日本のマスコミもさらっと報じるが、それがどれほど深刻なダメージかは深堀していない。政権交代に涙を流して喜ぶという体験を持たない日本人だから、報じてもピンとこないのかもしれないが⋯。

 

さて話を口コミを踏まえて少し別の角度から整理してみよう。

民主党の選挙戦はコロナのせいもあって、下手くそだと言われていた。その勝利の重要な要因は、日本のマスコミ報道からはうかがい知れない。

すなわち、全米の若者の熱心な選挙活動であった。以前も触れたように欧米、台湾、韓国は、近年若者の民主化要求と地球温暖化対策要求をもって大きなムーブメントを作ってきた。

特にアメリカは、左派は明確に気候変動対策を取り込んで政治課題としている。「サンライズ・ムーブメント」は、2018年の下院中間選挙民主党を8年ぶりに勝利させる原動力になった。2040年までに化石燃料ゼロにする「ニューディール法」の制定を目指し、民主党に課題を担わせている。こうした全米の環境団体は500を超えて活動している。

或いは、「未来のための金曜日」運動。16歳のグレタ・トゥーンベリの呼びかけに呼応して、世界の150か国が参加して、脱炭素社会を目指す運動を2019年9月20日~27日に実施した。ニューヨークの公立学校やオーストラリアの公務員は、金曜日には休みをとってデモ参加などの活動を許されている。金曜日は、グレタが毎週学校を金曜日に休んで環境問題に取り組んでいたところから用いられている。アメリカのみならず全世界で数百万人がこれに参加しているのである。

 

そして、日本でも、大坂なおみ選手のアピールもあってよく報道された「ブラック・ライブズ・マター」である。2014年、黒人エリツク・ガーナーが警官によって首を絞められ殺害されたことから発生した黒人差別撤廃運動だある。70年代のブラックパンサーによる公民権運動以上の盛り上がりを現在も持続している。この運動のスローガンは、"I Can't Breathe!"(息ができない)。エリックが息果てたながら最後に残した言葉である。

 この"I Can't Breathe!"(息ができない)は、南アフリカの食料主権運動のヴィッシュ・サトガーによって掲げられたものなのだ。二酸化炭素を大量に発生させる石炭から人工石油を作る(ナチスの製造方法)製造中止を求めて、アメリカ企業への抗議を通じて連帯しているものである。

これらはほんの数例でしかないだろう、こうした名もなき若者たちが中心となっている大きいにウェーブが民主党を支えていたことが窺える。

バイデン民主党による政権交代は、全米のグラス・ルーツの勝利といっもよいだろう。

少なくとも私はこうした情報を取得して深く納得したのである。

 

それにしても、日本のリベラル(もどき)野党は、こうした若者の運動と連帯できないのはなぜか。自主的な若者は多くがれいわ新選組に吸収されている。議会至上主義では世界の趨勢からリベラルとても脱落していくのではないだろうか。