小沢代表辞任から見えたもの、それはダメ知識人

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小沢代表の辞任会見を遅ればせながらYouTubeで観ましたので改めて、この事件を単純にして最大の問題を二三感想を記しておきたい。


まず、小沢一郎は政権奪取のために党内結束を固めるために辞任し、決して西松献金虚偽記載事件の引責によるものではなく、嫌疑には一点の曇りもないと従来どおりの弁明をしている。


相変わらず、小沢下ろしが目的だけの連中は金の説明責任を果たしていないと攻撃していたが、何をどこまで説明したら納得するのか?
立件され公判はこれからであり、今うかつなことを言えないことは、わかりきったプロセスではないか。


金の問題は、多くの冷静な国民が正しく自民党の方がもっと問題であること、小沢は企業献金額からすれば今や17位にすぎないこと、記載方法も多くの自民党議員と同様な手法をとり、従来許容範囲とされてきたことを金額が多いというだけで摘発をした検察の恣意的な裁量権が問題であること、数々のリークにより特定の政治家を裁判の前に社会的に抹殺し、司法官僚が正義を壟断したこと、などなど今さら述べるまでもく日本の政治風土の問題核心が晒け出された。


わたしは今回の問題で初めて小沢一郎をウォッチしたが、語られているほど強くも豪腕でもないと思った。ただ原則と理念型の政治家であり、大衆性を持ちにくいロマン主義者だったのではないかと思った。
つまり保守でありながら革新好きだから凡人には解りにくいのも当然だ。


実際この二年小沢の二大政党制というイメージは、現実を帯びたものになったし、やっと民主党のマニュフェストや党の体質も見えるようになつた。この評価を抜きに小沢下ろしに動いた前原小宮山仙谷などは全く政治家の資質がないといえる。
要するに体をはって泥水をすする苦労と責任を果たしたことのない極楽トンボなのだ。


ただ小沢は、自らが作った法律だけに抜け道もよく解っていて、高をくくっていた脇の甘さがあった。
しかしわたしは田勢康裕や内田樹のような日ごろは良質でリベラルな発言をしていながら、小沢だけには金問題を言い立てた大学教授や文化人に失望した。



彼らの言い分はマスメディアと同じく表層的な言辞に終始しており、日本の政治風土の構造的分析にまで進まず、結局小沢下ろしのコールを補強したにすぎなかった。


また堀田元高検検事など検察中枢は、一罰百戒により「政治浄化」になればいいのだと、検察官僚が政治のありようを決めるのだという思い上がりとノーテンキさで小沢ひとりを見せしめにしたが、どっこい自民党から「政治浄化」などの声はひとつも聞こえてこない。


そういう意味で吉本隆明の指摘する、戦前も戦後も知識人はいざとなると原理原則を逸脱し、権力にすりよってしまうという知識人論の文脈は未だに生きており、あいも変わらずだなとため息がでたものだ。


小沢の辞任の発言は少しもぶれていないし、恐らく彼は本心で自分の身はどうであれ政権交代へまい進するだろう。
この点でも、福田哲也などの「総理に本当は成りたいくせに」という批判は、誹謗中傷に過ぎないというわたしの指摘は間違っていなかった。
時の権力にすりより遊泳することで己の言論を補強してきた福田などは、全く「知」に対する誠実さなど見当たらなかった。同じ江藤淳門下でも山崎行太郎などの方がはるかに深い分析であった。


民主党は次期選挙で勝たなくてもいい。負けなければいい。
なぜか?わたしは必ずしも二大政党制がいいとも思っていないからである。
安定のメリットのかわりに、二大政党だけでこれだけ多様な国民の利害を緻密に救い上げられるのかという疑問が残るからだ。だから社民党を入れて野党共闘を大事にしていって欲しいと思うのだ。



そして、ダメ労組的体質部分を解体し、積極的な福祉政策集団に体質転換して欲しいと思う。今後自民党的体質に変質しない道は、福祉の公準を上げる政策集団を持ちうるかどうかだろう。



この事件でにわか小沢擁護派になったが、民主党党員がこういう不明朗な検察の権力行使に、民主主義の危機感も抱かず小沢下ろしに付和雷同したことで民主党への期待は終わった。


それにしても、国民B層の存在によって政党ひとつも育成もできず、民主主義を個人的な政治家の好き嫌いというエモーショナルなものでうやむやにした。本当は権力との関係でいえば、今回の秘書逮捕劇は小沢はあなたでありわたしであったはずである。その程度のこともわからず、未だに「西松建設違法献金事件」などと呼んでいる。暗澹たる気持ちだ。



他党のこととしながらも、記載問題については検察批判と小沢擁護を民主党党員よりもキチット発言していたのは、社民党保坂展人議員であった。誠に品位のある人格だと感心した。
わたしは今日から保坂議員を支援することにする。
ただし、社民党と福島おばちゃまはトンチンカンの政治音痴だから止めとくように。
保坂議員へは早速個人献金をしよう。