■自民党手法と小沢の皮肉−西松建設「違法献金」事件

「週間文春」3.19号で、ジャーナリストの上杉隆が、今回の問題を端的に書いている。
実に的確である。流石に元公設秘書だけある。

上杉隆は何故今回特捜が問題かについてこういっている。


 

   (違法性が発見されても)報告書の記載を修正したり、献金
   返還すれば「セーフ」というのが「永田町の常識」だった。こ
   れは、多くの献金がある中で、例えば献金者が外国籍を持って
   いるなど、その人物の背景まで、収支報告書の時期に一度に完
   全チェックすることがむつかしいからだ。


   にもかかわらず、今回、検察が修正、返却の猶予を与えず、い
   きなり秘書の逮捕という手段をとったのは、「おかしいではな
   いか」というのが小沢氏の立場であり、議員の会計責任者を務
   める大勢の秘書の実感なのである。

そして過去に政治資金で世間を騒がせた折に、この透明化を率先して遂行しようとしてきた自負があったから、検察への抵抗姿勢を鮮明にしたのではないかと推測している。


その小沢一郎が、自民党議員の狡猾なマネーロンダリング方法をとらずに、
自分の信念で極めて規正法の主旨を踏まえたストレートな方法をとって
きたところに皮肉な「違法性」を招いてしまったと分析している。


前回わたしは、自民党議員も似たり寄ったりの抜けがきをしていると書いたが、それ間違いであった。小沢は意外に単純に規正法を正面から受け止め透明化しようとしていたようだ。


では自民党の一般的処理の典型はどのようなものか、ヤクザのマネーロンダリングの如き方法をとってかき集めているのが、小泉のポチ武部勤に象徴される方法とのことだ。


 

    自民党北海道第十二支部の収支を、いくつもの政治団体を作っ
    て、複雑怪奇な方法で還流させたり、ループさせたりしている。
    総支部のカネは、各団体に一旦流れ、それが行きつ戻りつして
    いる構図だ。
    当時武部氏が作った政治団体の数は五十にものぼっていたので
    ある。

つまり政治団体から政治団体への寄付は許されているため、次々に転がして小
口分散で集めたものの出所を不明にしてしまうわけだ。
この方法に反して、小沢は政治団体を排して、献金元からダイレクトに政治資
金管理団体(陸山会)にカネをいれるよう透明化していたため、ヤクザな方法
が引っかからず、努力した方がパクられるという皮肉な結果となった。


また、他の事務所のようにいわゆる金庫番を置かず、公設秘書が代々会計責任
者がつとめるようにして、その透明性を高めることに務めていたとのことだ。


従って、自民党側から声高に議員辞職をせまらないのは、小沢が違法だといって
しまうとほとんどの議員が引っかかってしまうためだとしている。


そして、小沢に間違いがあるとすると、「透明化」と「浄化」はちがうわけだか
ら、派閥の長ともなれば好ましくない輩からの献金も増える。どぶ川が完全に浄
化されぬ前に蓋を開けて、ガラス張りにしてしまったことだと言う。
(上杉のこの言い分には反論があるがここでは言わない)


民主党の記者会見は、フリーの記者も自由に入れるため、杉山も参加して小沢に
質問したそうだ。


質問内容は、「どんなチェック体制をしいているのか?献金元の政治団体などの
背景は調べていないのか?」


コレに対して、小沢は「ノーチェックです。善意の献金者を信じる」と答えたそ
うである。
杉山は、議員はともかく秘書がチェックしていないことはありえないとして、小
沢は嘘を言っていると推測している。


国民は、検察リークとメディアの無知で小沢がワイロを受け取っていたと誤解し
ているかもしれない。なぜこのようないい加減なことがおこるか?


上杉の現場報告では、政治家の会見には政治部記者が入るため、政治資金規正法
通じていない。そのためいい加減な垂れ流し記事になってしまう。
わたしが思い当たるフシがあるのは、新聞社の内部では、政経部が隠然たる権力のトップに君臨しているため、社会部記者は遠慮してしまうのだろう。規正法他犯罪に熟知している社会部の記者が入らないとろくな質問も出ないし、特捜の手法のどこに問題があるかも掘り下げられないと
いうことのようだ。


そういう意味で、わたしも今回の検察の違例な進展にクエスチョンをもって見守り続けている。


なお田原総一郎は、昨日の段階で検察内部の若手によるクーデターではないか?と、問題が検察の内部事情を多分に反映した逮捕劇であるとして、以後検察内部に国民の注視は集まらざるを得ないとしている。