■普天間移設問題の親米隷属派のマッチポンプ

普天間移設再検討を首相、来週米国側へ提案の意向」
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1049221&media_id=4

鳩山総理がのらりくらりとして結論を先延ばししているため、日米同盟が危機に陥っているというメディアのバイアスのかかった報道と、アメリカの旧ブッシュ政権閣僚や国防省あたりの恫喝にオタオタしている親米隷属派学者が、日米同盟の危機を騒ぎ立てるから、すっかり騙されそうになった。


政権が交代したのだ、前政権の決め事を再検討の俎上に乗せるからこそ、政権交代なのであって、それを頭から恫喝するアメリカブッシュ時代の閣僚たちは、相も変わらず日本はポチだという感覚しかないのだろう。

事実、政官学には未だアメリカのポチがウロウロいるわけで、こういう売国派がさも日米同盟が健全に機能していて、危機に陥っていると吹聴しているわけで、実際にこの移転問題が、日本で大騒ぎするほどアメリカにとって危機だと国中をあげて騒ぎたてているという報道はほとんど聞かない。


この程度で危機がくるような同盟なら、もともとたいした同盟ではないのだろう。
少女をレイプするわ、道路に縄を張って日本人を平気でおもちゃにするわ、ひき逃げしても犯人を「人権に配慮して」日本に引渡しもしない同盟関係とはいかなる同盟か?


むしろ客観的に他国がみれば、英『フィナンシャルタイムス』紙が指摘するように、「新しい日本の政権が、半世紀に及ぶ保守的な自民党の実質途切れのない政権を打ち倒した後に、徹底的な政策の見直しを行うことはむしろ当然のことだ」として、ゲイツ国防長官らの威圧的な態度こそが日米同盟を危機に追いやっていると厳しく批判し、警告している。


日本以外の同盟国もこれまで、アメリカ政府からの強圧的な要求に接し、しばしば不満を鬱積させてきた、同盟関係には、双方の側に相手への敬意と忍耐がなければならない。
だからこそ今回のオバマ大統領やキャンベル国務次官補の冷静で賢明な対応は賞賛に値する。
細谷雄一国際法学者『中央公論』2010,1月号「時評2010」)


しかし、鳩山総理がどの問題でも、ヒョウヒョウと他人事のように述べるため、いつも曖昧に聞こえ、方向性が読み取りにくいというメッセージ力の弱さが苛立ちと混乱に拍車をかけていることも確かなように思う。


また何度も言うが、平野官房長官の無能さが各大臣との発言を野放しにており、輪をかけて、北沢などの沖縄と防衛問題を一度も本気で考えたことのない無能大臣と、もともと自民党的思考と何ら変わらない岡田フランケンシュタインが官僚に取り込まれているため、全く迷走状態を印象づけてしまっている。


この基地問題が、全く同じ本土の利権構造と同一の原因によって、混迷してきたことは間違いがない。
そこを抜きに報じるメディアと親米隷属派は、鳩山政権をただただ批判して紙面や時間枠を埋めることに汲々としている姿勢は、傷口に塩を塗り拡大する行為でしかないだろう。


「地元利権に振り回される普天間、日米同盟」と題して、如月遼(作家)がまとめた元防衛次官守屋武昌証言が『中央公論2010年1月号』に掲載されているが、現実政治のなかで移転交渉と整理をしてきた貴重な証言である。


一言で感想を言えば、当該の移設問題の当事者だけあって、非常に問題をはっきり指摘しており、かれの被告人という今の立場を度外視して傾聴に値する証言だと思う。


もちろん、防衛庁の元官僚だから現実政治の中での実務的対応が中心で、思想的意味や歴史的処理については期待する方が無理というものであるが。


次回時間があれば、守屋証言にそって普天間移設問題の辿った経緯を簡単に整理して、改めて沖縄の矛盾が自民党戦後政治の矛盾であることを明示してみたいと思う。